「君のおもいを(下)」(SAMPLE)


 ブルーの静かな口調とは相反する、熱くたぎるサイオンの流れが繋がれた手からハーレイの中へと流れ込む。
 何か言わなくてはとおもうのに、こころと身体がバラバラになってしまったようで声を出すことすらできなかった。

 だがその時、視界の片隅で亡骸の山が動いた。
 先にブルーが反応し、手を引かれたハーレイもよろけながら亡骸の元へと駆け寄った。
 一番下にいた黒髪の少女が息を吹き返していたのだ。

 「−−−もう大丈夫。君を助けに来たよ」

 ブルーは空いた方の手で少女の手を握り声をかけた。
 その言葉でようやく血が廻ったのだろうか、ハーレイは何とか自力で立ち上がると、少女の上の躯を丁寧にしかしできる限り迅速に下ろしていった。

 彼女の身体はごくわずかな光に包まれていた。
 意識を手放した後もサイオンシールドが留まり彼女を守っていたのだ。
 ようやく現われた少女の身体をブルーはそっと抱き起こした。
 半開きの目からは涙があふれ、わずかに動かす唇は同じ言葉をくり返す。

  声にならないそのおもいは、ほとんど感応力のないハーレイにも痛いほど伝わってきた。

 『神様−−−何故私だけが生き残ったのですか−−−−』
 「ハーレイ、この子を担いでくれ」

 ブルーの言葉に少女は目を見開いた。

 『いや…私だけ生きるなんていや!皆死んでしまったのにどうして−−−


 ハーレイに抱き上げられてもなおかぶりを振り抵抗する少女の濡れた頬に、ブルーはそっと手をあてた。

 

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